物件選びで失敗しない!立地・家賃・設備の選定基準【鍼灸院の開業】

こんにちは!AMG鍼灸院経営塾のコンサルタントの宮崎圭太です。鍼灸院の開業を考えている方、「物件選び、どうしよう…」と悩んでいませんか?😓
立地は良いけど家賃が高い、家賃は安いけど設備に不安がある…そんな物件選びの悩みは開業準備の中でも特に大きなものです。
実は多くの鍼灸院が開業後に「あの時、もっとよく考えて物件を選べば良かった」と後悔しています。このブログでは、物件選びで失敗しないための具体的な立地・家賃・設備の選定基準を、経営的視点からお伝えします。
これを読めば、自信を持って物件選定ができるようになりますよ!
目次
- 鍼灸院開業で物件選びが重要な理由
- 立地条件の選定基準
- 適正家賃の計算方法
- 鍼灸院に必要な設備条件
- 物件契約前の最終確認リスト
- まとめ:失敗しない物件選びの秘訣
鍼灸院開業で物件選びが重要な理由
物件選びが経営の成否を分ける3つの要因
物件選びは単なる場所探しではありません。経営の視点から見ると、以下の3つの要因で成否が大きく分かれます。
1. 立地条件が集客数に直結
鍼灸院は「行きやすさ」が集客の重要なポイント。立地が悪いと、どれだけ素晴らしい技術があっても患者さんが来院しづらくなります。
2. 家賃が利益率を左右
毎月固定でかかる家賃は、利益率に大きく影響します。月の売上が50万円の場合、家賃10万円と15万円では利益率が10%も変わってきます。
3. 物件変更のコストが膨大
一度決めた物件を変更するには、引っ越し費用だけでなく、患者さんの離反リスクや広告費の再投資など膨大なコストがかかります。
鍼灸院開業の全体的な流れについてはこちらの記事も参考にしてください
AMGメンバーの事例に見る物件選択の失敗と成功
AMGの鍼灸院では、物件選びで様々な経験をしています。
失敗事例:駅近の高額物件で固定費負担が重すぎたケース
駅から徒歩2分の好立地を選んだものの、家賃が月20万円と高額。結果、毎月の固定費負担が重くなり、利益を出すまでに時間がかかった例があります。
失敗事例:家賃優先で人通りの少ない立地を選んだケース
家賃の安さだけで選んだ結果、周辺に人通りがなく、看板を出しても認知されにくい立地となり、広告費を多く使わざるを得なくなった例も。
成功事例:コンセプトに合った物件選定で月商100万円達成
ターゲットを「30〜40代の女性」に絞り、女性が多く利用するショッピングモール内に出店。適正な家賃設定と相まって、開業半年で月商100万円を達成したケースもあります。
立地条件の選定基準
最適な立地を決める5つのチェックポイント
立地選びは感覚だけでなく、以下の5つの客観的な基準で判断しましょう。
1. 交通アクセス
- 駅やバス停からの距離(徒歩10分以内が理想)
- 車でのアクセスのしやすさ
- 駐車場の有無と料金
2. 視認性と看板設置条件
- 通りから見える位置にあるか
- 看板の設置が可能か、制限はないか
- 1階か2階以上かの違い(1階は視認性が高い)
3. 周辺施設との相性
- 医療機関や薬局など関連施設の有無
- 商業施設やオフィスの集積度
- ターゲットとなる年齢層が利用する施設があるか
4. 人口動態と年齢構成
- 周辺の居住人口密度
- 昼間人口と夜間人口の差
- 年齢構成(ターゲット層が多いエリアか)
5. 競合状況
- 半径1km以内の鍼灸院・整骨院の数
- 競合との差別化ポイントの有無
- 競合がいない、または少ないニッチな立地か
駅近vs住宅地―あなたの鍼灸院コンセプトに合った選択
どちらが良いかは、鍼灸院のコンセプトによって変わります。
駅近物件のメリット・デメリット
- メリット:通勤・帰宅途中の患者さんが通いやすい、認知されやすい
- デメリット:家賃が高い、競合も多い傾向にある
住宅地物件のメリット・デメリット
- メリット:家賃が安い、地域密着型の運営がしやすい
- デメリット:認知されるまで時間がかかる、夜間の集客が難しい
競合調査の正しい方法とその活用法
競合調査は単に数を数えるだけではありません。
効果的な競合調査の範囲
- 鍼灸院のターゲット患者が通える範囲(車10分圏内など)
- オンラインでの検索結果(「地域名+鍼灸」などで検索)
- 実際に現地を歩いて確認する(看板の有無、外観など)
競合から学ぶべきポイント
- メニュー構成や価格帯
- 営業時間と定休日
- アピールポイントや専門性
- 内装や外観のコンセプト
差別化戦略への活用法
- 競合が対応していない症状に特化する
- 営業時間を競合と違う時間帯にする(早朝・夜間対応など)
- 競合にない設備やサービスを導入する
適正家賃の計算方法
売上予測から逆算する家賃設定の公式
家賃設定には、以下の公式が役立ちます。
適正家賃の基本公式
適正家賃 = 想定月間売上 × (10〜15%)
例えば、月間売上50万円を目指す場合、家賃は5〜7.5万円が理想です。
開業時期別の考え方
- 開業初年度:売上の10%以下が安全圏
- 2年目以降:売上の15%まで許容範囲
- 安定期:売上の20%まで視野に入れられる(好立地の場合)
注意点
- 想定売上は楽観的すぎず、現実的な数字で計算する
- 開業直後は満室にならないことを前提に計算する
- 季節変動も考慮に入れる(夏場の落ち込みなど)
初期費用と月額固定費の総合的な見方
家賃だけでなく、以下の費用も含めて総合的に判断しましょう。
初期費用の相場
- 敷金:家賃の1〜3ヶ月分
- 礼金:家賃の0〜2ヶ月分
- 仲介手数料:家賃の1ヶ月分
- 保証金:家賃の1〜2ヶ月分
- 前家賃:1〜2ヶ月分
月額固定費の内訳
- 共益費・管理費:家賃の5〜15%
- 水道光熱費:月1〜3万円
- インターネット回線:月0.5〜1万円
- 保険料:年間2〜5万円
長期的なコスト比較 賃貸と購入では、10年以上の長期で見ると購入のほうがコスト効率が良くなることも。ただし、開業初期は資金繰りの観点から賃貸が無難です。
家賃交渉のコツと成功事例
交渉は臆せず、以下のポイントを押さえましょう。
効果的な交渉タイミング
- 物件が長期間空いている時
- 契約更新のタイミング
- 競合物件の資料を持参する時
交渉で使える具体的フレーズ
- 「長期契約を前提に検討しています」
- 「内装工事を自費で行うので、その分の値引きをお願いできないでしょうか」
- 「近隣の類似物件では○○円でした」
フリーレント交渉の例 AMGのあるメンバーは、「開業準備期間として2ヶ月間の家賃無料」を交渉して成功。内装工事期間中の家賃負担が軽減され、開業資金を効率的に使えました。
鍼灸院に必要な設備条件
必須チェック項目10選
鍼灸院特有の設備条件をチェックしましょう。
1. 施術スペースの広さと間取り
- 施術ベッド1台あたり4畳以上のスペース
- 仕切りの設置が可能な構造
- 将来的な拡張性
2. 待合室の設計
- 施術スペースとの適切な区分け
- 患者さんがリラックスできる空間
- 受付カウンターの設置スペース
3. 水回り設備
- 手洗い場の数と位置
- トイレの有無と清潔さ
- 給排水設備の状態
4. 空調設備
- エアコンの設置状況と性能
- 冬場の暖房効率
- 換気システムの有無
5. 電気容量と配線
- アンペア数(30A以上が理想)
- コンセントの数と位置
- 増設の可否
6. 防音性
- 壁の厚さと防音性能
- 隣接テナントからの音漏れ
- 施術音の外部漏れ
7. バリアフリー対応
- 段差の有無
- 手すりの設置可否
- 車椅子対応の可能性
8. 収納スペース
- タオルやリネン類の保管場所
- 消耗品・備品の収納場所
- 患者さんの荷物置き場
9. 外観と内装
- 天井や壁の状態
- フロアの材質と状態
- 修繕履歴
10. 衛生管理のしやすさ
- 清掃のしやすさ
- カビやホコリの溜まりやすさ
- 害虫対策の状況
お客様視点に立った院づくりについての記事も参考にしてください
内覧時に見落としがちな重要ポイント
内覧時には、以下の見落としがちなポイントもチェックしましょう。
1. 日当たりと採光
- 自然光の入り方
- 窓の位置と大きさ
- ブラインドやカーテンの必要性
2. 湿気・カビ対策
- 壁や天井の染みや変色
- 窓周りの結露状況
- 地下や半地下の場合は特に注意
3. 通信環境
- 携帯電話の電波状況
- インターネット回線の引き込み状況
- Wi-Fi環境の構築しやすさ
4. 周辺の騒音・振動
- 周辺道路の交通量
- 隣接店舗や住居からの音
- 建物自体の防音性
5. 時間帯による環境変化
- 朝・昼・夜の人通りの変化
- 夜間の照明状況
- 休日と平日の違い
6. 防犯対策
- 入口のセキュリティ
- 防犯カメラの設置可否
- 周辺の治安状況
7. 建物の耐久性
- 築年数と耐震性
- 外壁や共用部分の管理状態
- 設備の更新履歴
改装可否の確認と特約事項の入れ方
契約前に必ず確認しておくべきポイントです。
改装許可の範囲確認
- 壁・床・天井の変更可否
- 配管・配線工事の可否
- 防音工事の可否
看板設置条件
- 看板の大きさ制限
- 設置位置の制限
- 照明付き看板の可否
特約事項の具体例
- 「開業前の内装工事期間中の家賃を半額とする」
- 「契約後3年間は家賃の値上げをしない」
- 「24時間営業を行うことができる」
- 「防音工事を施した上での音楽使用を認める」
交渉のコツ
- 特約事項は必ず書面化する
- 曖昧な表現を避け、具体的に記載する
- オーナーのメリットも考慮した提案をする
物件契約前の最終確認リスト
契約書の重要ポイント解説
契約書の細部まで確認しましょう。
解約条件と予告期間
- 解約予告の期間(通常1〜3ヶ月前)
- 中途解約時の違約金の有無
- 最低契約期間の設定
家賃改定条項
- 改定の頻度(通常2年ごと)
- 改定率の上限(可能なら明記)
- 改定交渉の余地
禁止事項と営業制限
- 営業時間の制限
- 音や匂いに関する制限
- 看板や広告の制限
修繕責任の所在
- 小規模修繕の負担者
- 設備故障時の対応
- 天災時の対応
保証人条項
- 連帯保証人の責任範囲
- 法人契約の場合の代表者保証
- 保証会社利用の可否
オーナーとの良好な関係構築のコツ
長期的な関係を良好に保つポイントです。
信頼関係の構築
- 開業の目的や事業計画を誠実に伝える
- 定期的な挨拶や近況報告を心がける
- 問題が発生した際の早期相談
コミュニケーション方法
- 連絡手段と頻度の確認
- 緊急時の連絡先の共有
- 建物管理会社との関係構築
トラブル対応
- 騒音・振動が出る施術の事前説明
- 患者さんの出入りによる影響の配慮
- クレーム発生時の迅速な対応
開業までのタイムラインと物件決定のタイミング
開業準備全体の流れを把握しましょう。
理想的なスケジュール
- 開業の6ヶ月前:物件探し開始
- 開業の3〜4ヶ月前:物件契約
- 開業の2〜3ヶ月前:内装工事開始
- 開業の1ヶ月前:設備・備品搬入
- 開業の2週間前:最終準備・リハーサル
季節要因の考慮
- 開業のベストシーズン(春・秋)
- 閑散期を避けた契約タイミング
- 年度替わりのタイミング(3〜4月)
準備と並行したスケジューリング
- 広告・宣伝計画との連動
- 資金調達のタイミング
- 許認可申請のスケジュール
まとめ:失敗しない物件選びの秘訣
物件選びの成功は、鍼灸院経営の成功への第一歩です。本記事のポイントをおさらいします。
立地選びのポイント
- ターゲット患者層のニーズに合った立地を選ぶ
- 交通アクセスと視認性を重視する
- 競合状況を徹底調査する
家賃設定のポイント
- 想定売上の10〜15%を目安にする
- 初期費用も含めた総合的な判断をする
- 交渉の余地を探り、条件改善を試みる
設備条件のポイント
- 鍼灸院特有の必須条件を満たしているか確認
- 見落としがちなポイントまで細かくチェック
- 改装の可否と範囲を明確にしておく
契約前の最終確認
- 契約書の細部まで確認する
- オーナーとの良好な関係を構築する
- 開業までのタイムラインを明確にする
物件選びは妥協したくなる場面も多いですが、長期的な視点で見れば、慎重な判断が必ず報われます。いくつかの物件を比較検討し、本記事のチェックポイントをもとに最適な選択をしてください。
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